端島の周囲を囲むそそり立つ岸壁は、竪坑の櫓・煙突の煙と共にこの島を軍艦と思わせ、また絶海の要塞の様にも見せる大きな要因です。
  端島はその地理的な条件から、生活するためには様々な過酷な自然条件との闘いを強いられましたが、その最大のものが海との闘いです。

周囲を東シナ海に囲まれ、特に外海に面した住宅棟側に台風時に襲いかかる波の猛威は想像を絶するものでした。島の護岸造りは強固な物 でなくてはならず、林立する鉄筋コンクリートの住宅棟群にも様々な台風や波浪対策を施さなくてはなりませんでした。また元来の岩礁の 傾斜があまりにも急なので、その中腹に建物を建設する際には必ずと言っていいほど建物が建てられるスペースをまず確保する必要があり ました。
  これらの工夫が他に類例を見ない島の独特な景観を創り出したのですが、それは長年にわたる海との壮絶な闘いが造らせた創意工夫の結 晶でもありました。

 

絶海の要塞

プロローグ 擁壁と堤防 <図>拡張変遷図 排水 防潮